染織あれこれ(37)
“100年の重さ”痛感
「山車幕」 《は》

●佐原市新宿・下新町 本金の「しめ縄」
■夜は堤灯に交換される 13/10/13
 この秋、各地のお祭りにお招きを戴いた。地元″旧葛飾郡″をはじめ遠方は房州、山武、香取など。それぞれに特徴ある秋祭りは、「五穀豊饒」自然への感謝と畏敬。諸行事は歴史と伝統に土地柄が反映され、見ているだけでも楽しい。

 十月七日は東金・田間神社の例大祭。前夜、田間新田の宵宮でご馳走を頬張っているとマイクで呼び出し。晴れがましくもご挨拶。後日、そのもようが、写真と一緒に「礼状」が届いた。嬉しいかぎりだ。

 十三日には佐原の大祭へ出かけた。千葉県無形文化財・日本三大囃子「佐原ばやし」を聴きながら絢爛豪華な「山車」と美酒に酔う。

 山車は祭礼に曳く山・鉾・人形などを飾った屋台(やだい)。神様が降り立つと言われる神聖な場所。佐原の山車は総欅(けやき)造りに高欄を配し、四方をしめ縄や「天幕」を張り巡らす。

 今回の佐原行、実は仕事も兼ねていた。かねてよりお声がかり「天幕新調」のお話し。ご施主は佐原本宿・上仲町区様。

 上仲町の山車は江戸時代のものが、明治二十五年の大火で消失。同三十四年に建造された。天幕は消失をまぬがれたもの。文化時代の作と伝わり、文化財としての価値も高いと評判のもの。しかし、痛みが激しい。

 この天幕を「山車建造百周年記念事業」に新調のご検討。″幕″といっても裂地や織物でなく、『金糸』で編んだ、「網天幕=あみてんまく」というもの。

 佐原新宿・秋祭りには網天幕はなく、金糸で作ったしめ縄や金襴などの幕。私は材料の調査から全体のバランス、吊り下げ具合など十四台をつぶさに調べ、総てを記録。ご下命に備えた。
 
その甲斐もあり一週間後「本金糸」でご注文を賜った。

 皇室では皇太子様、雅子様のお子様がご誕生間近。このご慶事に合わせ、祝賀のお祭りも開催もささやかれている。光栄とともに責任の重さを痛感。

 後世に遺る良い仕事で、ご期待に添いたい。
船橋市民新聞 2001年 11/1発行 第37号