染織あれこれ(48)
「着袴と観月会」
「袴」(はかま) 《い》

●亭主羽織の片岡直公さん
真間山弘法寺 H14/9/21

 9月21日、真間山弘法寺に出かけた。中秋の名月を愛でる『望月會』だ。

 かねてお聞きしていた会だが、初めての出席。青年会議所(JC)時代の懐かしい方々にお目にかかることも楽しみの一つだった。

 弘法寺の歴史は古い。天平9年(737)に、行基が万葉集にも詠われる悲劇のヒロイン手児奈姫を弔ってお堂を建立と伝わる。

 JR市川駅から静かな住宅街を抜けて20分。小高い丘に140人もの"粋人"達が集った。

 亭主は市川JC先輩の片岡直公さん。「月見は平安の頃、中国から伝わり貴族達が和歌を詠み、酒を飲み交わす『観月宴』が始まり。日本の文化」と、ご挨拶。

 宴は上原まりさん奏でる筑前琵琶から開始。すだく虫の音の中、美しく、艶やかに、時に雄渾に、平家物語を語る。篝火が揺れる。まさに、典雅だ。

 乾杯は400勝投手の金田正一さん。「今期大活躍の桑田投手は昨年就職先も決まり引退予定を、片岡亭主が激励、翻意させた。人の縁を大事にしよう」と挨拶。

 望月會の会員は30人と聞いたが、この日、全員が和服。それも、着流しの方は一人もいない。皆さん袴をつけている。

 長着(キモノ)は黒紋付もあれば御召(おめし)や「紬類」に縫い紋の方もいる。ユニフォームではなく自前で、それぞれのご嗜好、個性が光る。

 黒紋付、羽織、袴は日本男子の礼装だが、男が人前に出る時は紋付でなくても「袴姿」が礼儀。お客様を"迎える心" が嬉しい。

 回を重ねた望月會、昨年までの亭主・※はい島正次さんから新亭主に『亭主羽織』の贈呈があった。「和服は日本の文化、亭主羽織を着て風雅を粋に続けて」----と。

 この日のお月様は雲間に隠れがちだったが、弘法寺ご住職の"法力"で時々、お顔出し。これも風流。

 「着袴(ちゃっこ)の礼」に応えて来年は、私も袴姿で満月を愛でたい。

(つるや伊藤・伊藤吉之助)

※はい島のハイは草カンムリに配です

船橋市民新聞 2002年 10/10発行 第48号