染織あれこれ(54)
喜び、誇り、名誉
『半天』はんてん《は》

●「く組」「本若」「金棒」の半天
太番手木綿に反応本染め、腰柄は一緒


 順天堂大学さくらキャンパスでは毎年、新入生の歓迎を兼ねて六月に寮祭を開催する。今年は56回目。
 寮祭では “銘々”の印入りの半天をご注文戴くが、この時期、各地域・各町会でもお祭の準備が始まる。
 今年は未年、三山の『七年祭』の打ち合わせも始まった。三山の七年祭は丑年と未年に行う七年に一度の二宮神社の式年大祭。
 この祭は船橋ばかりではなく、船橋・習志野・八千代・千葉にわたって行われる。九月の「湯立て神事」を皮切りに十一月には各市の “親族神社”が集う。人出は多く、五万人とも、七万人とも言われる。
 十一月三日、神揃場(かみそろいば)には九基の神輿が勢揃いするが、若衆の仕度は、長股引、腹掛けにそれぞれに揃いの半天。
 “親族”の一つ習志野・菊田神社の『く組半天』はネズミ色の地色に大紋が赤で「菊田」。腰柄は枝付きの菊の花。肩には「くの字」と「田の字」を組合せて “キクタ”とシャレている。
 く組には若衆の連が四つある。中に着る半天は独自で「本若」は腰柄は同じだが、黒の地色で衿には菊の紋章をあしらい、大紋は牡丹の花びらを模したボタン文字のデザイン。
 半天の取りまとめ注文は青年会の役目だが、交渉・打ち合わせは「生地・染め・仕立て」、なにより肝心の値段はどうかと真剣勝負。
 親たちの祭典委員会は「方針決めた後は、口は出さない」、と一任だからなおのこと、責任は重大。
 九月には若衆宿ができて祭準備が忙しくなるが、宿の壁には「宿使用心得」が張り出される。一つ、周辺に迷惑をかけない。二つ、夜は十時迄。などの、五箇条だ。
 使用心得がいつ定められたのかは不明だが、五百五十年続く祭伝承の責任を果たす心意気が表れている。 
 順大・寮祭も半世紀以上続くが、半天を着る事は祭参加の「喜びと誇り名誉」も一緒に羽織る事。良い仕事でシッカリと支えたい。

(つるや伊藤・伊藤吉之助)

船橋市民新聞 2003年 4/20発行 第54号