染織あれこれ(35)
庶民の粋とシャレ
「半天」《ろ》

●さくら太鼓の皆さん 
■半天=タッサーブロード(i綿100%)反応染め13/7/21
 船橋の祭礼は漁師町が八剣(やつるぎ)、本町は八坂神社。印内町も八坂さん。いずれも御輿渡御の若い衆たちは白の晒に巴の付いた「ゆすり襦袢(じばん)」白の半だこ(半股引)に白足袋。半天は着ない。

いつ頃からこのスタイルになったかは、古老に聞いても「判らない」が、香取や山武郡、あるいは房州など県内各地に残る「白丁(はくちょう)姿」が転じて″襦袢″になった。と、私は勝手に思っている。

 船橋でも古和釜町の八王子神社はお揃いの半天だ。股引きは紺の長股。紺の腹掛けの中は派手な女物柄の襦袢を着る。村の鎮守様の秋祭りだから″晒襦袢″では寒いか。丸に『八』の字の大紋は気が揃っている。

 半天は職業を表す「仕事半天」。仲間同士の集まり、太鼓やお囃子、納札などの趣味の会。一様に粋と「心意気」を染め抜いた旗印。今、職人や火消しの半天は儀礼的となったが、東京・三社、神田、深川の江戸三大祭。半天姿の若い衆の『祭半天』が主人公。意匠を凝らし実に賑やかだ。

 七月二十一日、妙齢のご婦人が来訪された。市民祭に本町通りで「太鼓」を捌いた五人組。以前、お囃子の当り鉦の「鹿角バチ」をお求め戴いたお得意様、『さくら太鼓』のお嬢さん方。盲(めくら)縞・紺の長股、ドンブリ(はらがけ)がキマってる。市内・松が丘からわざわざのお立ち寄り。半天は粋な束ね熨斗(たばねのし)を首抜き模様で赤地に緑と青、白でクッキリ。なぜか、目もとはほんのり″さくら色″。

 印半天は、男伊達。粋とイナセを競って「勇み肌」「巴・御輿」の若い衆の専売特許と思っていたが、腰に茶色の″そろばん柄″の帯をキリっと締め、同じ柄の袖口をめくっている。江戸時代から変わらぬ庶民の意匠が半天だが、女性にしては衿を前で合わせ過ぎない、シャレた着こなし。

 祭礼門幕の前で、思わず写真を一枚、パチリ。

船橋市民新聞 2001年 9/1発行 第35号