染織あれこれ(50)
女性の外出着−大人への第一歩
「被布」(ひふ)《い》

●飾り紐が特徴の「可愛らしい被布
帯地を四つ身の「三歳祝い着」に


 十一月十五日、船橋大神宮は「七五三」で賑わった。七五三は子どもの無事、発育を喜び氏神様に感謝。そして、なお一層の成長を願う大事な行事。

 大神宮様の話によれば早い方は十月の土、日曜、祭日。十一月も同様だが十五日過ぎは少なく、中には都合からか十二月にお祝いされる方もいるという。

 地域にもよるが、男子は五歳。女子が三歳、七歳が一般的なよう。かつては数え年だったが今は、満年齢のようだ。

 それも、兄弟姉妹の誰かの年と合わせて、男子でも三歳、七歳などに一緒に家族で祝ったりもしている。特にこだわらない。

 男子の祝い着は黒羽二重の五つ紋付き。キモノと羽織に縞袴。これが正装。

 わが家では宮中の習わし「着袴の儀」とばかりに、碁盤に乗せてお祝いした。…親バカのサンプル?か。

 三歳女子の仕度は、友禅や無地のキモノに『被布(ひふ)』が可愛らしい。

 今年、三つの祝い着にお祖母様が手持ちの帯地で丹精されたものがあった。四つ身裁ちが普通だが柄合わせ、やり繰りが大変。それだけに心のこもった一枚。
  
 お孫さんの体格に合わせて腰上げ、肩上げをして兵児帯を結ぶが、兵児帯は被布で見えなくなる。

 被布は、新しく赤の無地で拵えた。慣れない幼子なので「きつくない」ように帯でなくても、着物と襦袢の付紐だけでも大丈夫だ。

 女性の外出着の一種として江戸時代、武家の奥方などが用いた被布だが衿が大きく、上前と下前の合わせ目に飾り紐がつく。

 映画やお芝居では忠臣蔵の浅野内匠頭の奥方・揺泉院と大石の「南部坂雪の別れ」に奥方が着ている。

 美智子皇后も中国ご訪問の時、万里の長城でお召しになったが皇后様の被布姿は素敵、印象的だった。

 三歳祝い着に被布着用は健やかな成長を願う親心。女の子が大人への第一歩。
 
 七五三を大切にしたい。

(つるや伊藤・伊藤吉之助)

船橋市民新聞 2002年 12/10発行 第50号