染織あれこれ(36)
神聖な一郭との結界
「奉納幕」 《い》

●船橋・台町の「飾り獅子頭」
■明治39年の〃幕〃が引き立て 13/7/21
 船橋「行田のお諏訪さま」の奉納幕が作り替えられ十月のお祭りに新しくなる。今の幕は昭和四十一年一月に奉納されたものだから三十五年ぶり。
 納主は田中定雄、鈴木茂夫、服部正治、成瀬隆の四人さん。

 生地は富士絹、紫の地色に三巴の紋が白抜き。名前と共に「平成十三年度年番」の文字も染められる。大巾(約70cm)丈で2間(180cm)の長さ。
 もちろん紫白の紐に紫の揚げ巻き房も新調される。納主は男名前だが、準備をしたのは女衆。

 行田の地名は「行徳」と「田尻」(市川市)の農家の人たちが「大昔」に開墾した地域なので“行田”と名付けられたという。
 女衆は今でも「昔から」毎月一日、十五日、二十三日の三日は神社に『御籠り』(オコモリ)をして過ごす。

 御籠りは全員でお社や庭の掃除をした後、会食。そして“おしゃべり”の楽しい一刻。この時、社殿屋根の改修に合わせて新しい幕を奉納する事となったそうだ。 「女は縁の下の力持ち」だから、幕には“男名前”と、皆さん、謙虚。

 寺社仏閣などの正面に飾る紋章を大きく染め抜いた幕は、氏子や構中などから奉納されることが多い。故(ゆえ)に『奉納幕』と呼ばれる。
 文字通り神聖な一郭との結界で、独特の風格と尊厳を感じさせる。

 さて、三年に一度の船橋の湊町の「大祭」を度々紹介している。祭の主役は御神輿。近年、漁師町は“バカ面”が盛り上がるが御神輿さんの前を清める静かな「飾り獅子頭(シシガシラ)」も見過ごせない。
 中でも台町さんの『獅子頭』明治初期の造りと伝わる。威彩荘厳。

 ここでの幕は“頭”の引き立て役、結界ではなく、お仮屋の後ろに張られている。明治三九年、百年前の作。どうやら、つるや伊藤・先祖の手によるらしいが、出番は三年に一度。実に丹精されて長持ち。
 行田の諏訪さま、「奉納幕」の出番は毎年。───“計算”通り?の年数、か。
船橋市民新聞 2001年 10/1発行 第36号