染織あれこれ(23)
暮らしの美、芹沢けい介模様

「型絵染」(かたえぞめ)
《い》

伊藤 吉之助(つるや伊藤)

●オリジナルからの取材の芹沢けい介模様
■「井曾保(イソップ)文」二曲屏風


 『芹沢けい介・のれん展』に行った。

国道16号、呼塚交差点の「柏市立・砂川美術工藝館」の企画展。2年前にも「のれん展」は開催されたがこの時は見逃している。常設の「みのけら図・二曲屏風」「板目文着物」やガラス絵などと80点の作品展示。

 芹沢先生の作品を鑑賞していると紋様と色彩、構成に豊かな美しさ、温かく確かで静かな″華やかさ″。いつまで観ていても飽きることない。我雑な私の心を静めてくれる。芹沢作品は多種にわたり肉筆本、本の装幀もあるが着物・のれん・屏風・壁掛けなど、多くは「型絵染(かたえぞめ)」だ。

 一般的に「型染」と云うと捺染(なせん)・防染(ぼうせん)・抜洗(ばっせん)など。江戸小紋・注染(ちゅうせん)・琉球紅型(りゅうきゅうびんがた)が代表的。型絵染は模様を彫った型紙を布の上に糊を置き染液をつけた小刷毛で色挿し、挿し部分をさらに糊伏せして地色を染める。水元で糊を落とし、張場(はりば)で乾燥。仕上。

 芹沢けい介先生は日本の伝統的な″型染″の技法を消化、「型彫り・型付け・染め」などの各専門分野の分業工程を自ら下絵を起こし、型を彫り、染めあげ、独自の芸術的領域に見事に昇華させた。

「型絵染」と云う言葉は先生が昭和31年(1956)、重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された時に考案、初めて使われたという。

 大正末期勃興の柳宗悦(やなぎむねよし)らによる「民藝(芸)運動」は河井寛次郎、浜田庄司らによって陶芸に開花。文芸、絵画への影響は武者小路実篤ら「白樺派」にも影響を与えた。芹沢染色はそこに育つ。

船橋小学校に図画教師で奉職の洋画家・椿貞雄先生は、船橋駅北口にアトリエがあった。私の″お絵かき″の先生は二女の夏子さん。良くして戴いた。

 昭和五一年、芹沢先生はパリで「芹沢けい介展」を開催。夏子先生は弟子の一人として随行。ご自身も型絵染をされる。民芸は庶民生活、日常の実用工芸品からの文化運動。

 私どもでは芹沢作品の写しを「芹沢けい介模様」として安価で頒布している。美術、芸術を身近に置いて、日々の暮らしを素敵に楽しんで戴きたい。

※芹沢けい介→外字の為「けい」をひらがなで表記しました。(金へんに圭)

船橋市民新聞 9/1発行 第23号