染織あれこれ(38)
“品格と伝統”織り込む
「校旗」(こうき) 《ろ》

●特別生地に総手刺繍「筵縫い」入り
■高橋秀充校長と役員さん 13/10/19
 十月、船橋市立小栗原小学校の「校旗」を納入させて戴いた。同校、来年創立五十周年。校旗は記念事業として製作されたもの。

 年初にお声をかけて戴き、旧来の校旗の調査から学校と実行委員会のご要望を入れ「仕様」が定まる。
 ご検討の結果、五月にご発注。さらに生地や刺繍、付属など詳細の説明。加工は六月からとなった。

 通常、校旗や優勝旗、団・会旗など「刺繍旗」の製作期間は、グレードにもよるが、一カ月から二カ月くらい。今回は、たっぷりとお時間を戴いた。

 それというのも選んだ旗生地が特別だからだ。京都西陣の「琥珀(こはく)織」。シルク100%、正絹。

 琥珀は平織りだが横方向に畝(うね)のように太めの糸が表れている。天和(てんな)年間、今から三百年前頃、西陣で初めて織り出されたもの。博多帯もこの一種だが、とても「しっかり」していて″刺繍映え″がする。

 ところが旗生地用の琥珀は色が十五色と限られている。小栗原小の″初代校旗″の色は「ブラウン」で新調旗もこれに合わせた。ワンランク下の「綾錦」にはこの色はあるが、琥珀には「ブラウン」が無い。糸から染めて織りあげの″一本もの″となった。

 施す刺繍は金糸、銀糸に色糸をあしらい校章によって難易度は違う。いかに表すかが腕の見せ所。「小栗原小」は五弁の花びらに校名の文字入り。 ″小″の部分に「筵(むしろ)縫い」を使ってシンボリックに仕上げた。

 職人たちは刺繍の分野でその「手」が違う。和服の刺繍、相撲の化粧回し、エンブレム、そして「旗」。繊細、綺麗、華やか、力強さ。色々求められるが専門により微妙な違いが出る。

 「手」によって綺麗でも弱かったり″迫力″が出過ぎたり。不思議なものだ。

 校旗は学校のシンボル。記念校旗「品格」と五十年の喜び″伝統″を重視した。
船橋市民新聞 2001年 12/1発行 第38号