染織あれこれ(55)
風を通す"虫干し"が基本
「和服の手入れ」(わふくのていれ)《い》

●洗い張りした後、さらに手を加える職人
生地を傷めず変色シミを抜き地色を補正 15/5/16 

日本の四季は春夏秋冬とハッキリしている。

 日本のキモノ。「和服」も既設にキマリがあって、六月になると、それまでの袷(あわせ)物から「単衣(ひとえ)物」となる。

 七月に入れば、単衣でも夏物となり「絽」や「紗」の薄物に。そして十月からは袷に戻る。一年間、一巡りだ。

 自然と共生、季節感を大事にしてきた日本人の生き方の現れの一つだろう。

 シーズンが終わり衣替えともなれば、それぞれ相応の手入れが必要だ。かつて和服が日常着だった頃は、手入れと言えば洗い張りだった。

 着物を解き、元の一枚の反物にして洗い、糊入れ仕上げの洗い張り。木綿などのふだん着は、一般家庭でも行ったが、晴れ着など絹物は専門職人の手仕事だ。

 反物になった生地は、家庭で仕立てるか仕立屋さんに頼む事になるが、今は、ほとんどの人が、仕立て上げまでを専門店に依頼している。

 洗い張りの上手、下手は縫子さんが一番よく判る。生地のヘタリ、シミの有無。一針一張り縫い上げるだけに愛着が湧くものだ。

 和服が日常着から「よそ行き」となった現代。手入れの主流は、仕立て上がったまま丸洗いする『生(い)け洗い』となっている。

 洗い張り工賃は安価だが仕立て代金が加算される。それを考えると生け洗いが"経済的"という、側面もある。

 シーズン中、一度でも手を通した着物は仕舞込む前に手入れをしたい。特に"暖房完備"の今日、暖房による「汗ジミ」が心配。

 汗は酸化、黄ばみや黒ずみ。カビ発生の原因にもなる。シミ・汚れは手垢、食べこぼし、泥はねなど様々。気をつけていても付着する。出番が済んだら、キチンと手入れをしたい。

 風を通すことがキモノを長持ちさせる。年に何回かの「虫干し」の時には、気がつかなかった「シミ・汚れ」の発見チャンス。着物保存の基本的な作業だ。

 大好きなキモノを長く、大切に、楽しみながら‥。

(つるや伊藤・伊藤吉之助)

船橋市民新聞 2003年 6/10発行 第55号